ダイカスケールを作っているニシキは、103系や111系に似ても似つかぬ塗装を施すような雑な製品を輩出している部分はありますが、こと車両の造形に関しては極めて誠実で、103系や111系の造形は秀逸ですし0系新幹線も9㎜ゲージ鉄道模型に引けを取らない、すぐれた印象把握を誇ります
しかし、300系新幹線はどういうわけかまったく似ても似つかぬシルエットになってしまいました。当時ホント、どうしてこうなった? って思いましたよ
ところがですね、323形としてみるとつくりはホント誠実なんです。窓の数は13個(324形は15個)であってますし、屋上無線アンテナ位置も窓位置から割り出す限り正確です(ついでに言うと東京側の324形にはこのアンテナはないので、323形であるという決定的な特徴にもなってる)。屋上が銀色に塗られているのが気になりますが、デビュー当時の300系は屋上がグレーなのでむしろこれで正解
つまり、リサーチはちゃんとやってるんですよ。じゃあ何がダメなのか
車高です
300系は高速運転のために徹底的な軽量化と低重心化を施しています。そのファナティックさはN700系以上です。軽量化と低重心化のためにエアコンを床下に移動し、車高を0系に比べて400㎜も低くしています
しかしダイカスケールは逆に0系よりも車高が上がってしまっています。車両のスタイルはコンタが決めるという不文律から見ても、これでは似るわけがないのです
なお、その後造られた500系9000番台は車高を下げてそれらしくしています(これはこれでなかなか工夫が素晴らしいのでずれ語りたいところです)。
ちょうどこの時新規で造られた車両は、どういう理由からか高さ方向に車体が大きくなりました。300系新幹線のほかでは東武100系や都営12-000形がこの世代に当たります
同時期に発売された東武100系と並べてみましたが、車高が300系とそろっています。さらに言うと金型の分割線も100系と同じです。なので、乗務員ドアのところに分割線がかかってしまい、ドアのモールドが一部消えてしまっています
東武100系は「屋根」の型として赤線の位置かに分割線が入り、青い細線のところが横の分割線になります。塗分けを考えると実に合理的です。
しかし300系も100系と同じ寸法で金型を割ってしまったため、乗務員ドアに分割線がかかってしまいました。さらに幕板部分も300系はフラットなので、分割線がくっきりと出てしまう結果になってしまったものと推測されます
ラインの位置はここであっていますが、ドアのモールドはいくらなんでもあんまりかと…
閑話休題。つまり300系は東武100系と同じサイズで型を作ってしまい、あちこちの寸法に無理をきたしたのではないかな? というのが俺の見立てです。東武100系は屋根のうえにクーラーキセが乗るため、車体の高さ自体はそこまで高くありませんが、300系新幹線はクーラーは床下配置なので、100系のクーラー分だけ幕板を伸ばしてしまった、ということなのでしょう
東武100系を基準に造ったがために300系新幹線は幕板が伸びてしまったのは妻板を見るとよくわかります
車両の表情を決めるのはコンタなんだ、というのがよくわかります
しかし側面窓とドアはだけは解せないなあ…ドアの幅をもっと広くして、窓のピッチを狭めればずいぶん印象は変わると思うんですが