神崎レンタルサービスの自動販売機『トレイン』は、すれっからしの鉄道好きの心を揺さぶる心憎いアイテムです。ひたすら眺めているだけで200円の元なんてあっという間に取れてしまいますよこれ
今回ご紹介するのはそのなかでもなんともいえない味わいをかもし出しているC11。ステキなところ、惜しいところ、ダメダメなところが渾然一体の不協和音となって形になっています。
で、このC11ですが、ものすごくカトーのC11(旧製品。以下同)をかなり参考にしています。上回りはコピーといっていいほどに似通っているのです
上の画像でデフの付け根をみると、赤い線のように途中に段差がありますが、実車のC11には白線のようになっており、段差はありません。この段差形状を持っているモデルはカトーのC11だけです
続いてキャブ。C11のキャブ窓は3枚窓。すなわち窓桟は等間隔に2本あるはずですが、このC11には1本しかありません。これはカトーが「窓を開けた状態」を再現したものをそのまま神崎レンタルサービスが(おそらく何の理解もなく)丸写ししたたのだと思います。区名札や点検蓋のディテールまでそっくりです
このほかテンダ後部の配管やロッド周りなどそこかしこにカトーC11を参考にしたと思わしき痕跡が残っており、それを探して楽しむだけでも200円の元は取った気になれます
もちろん製品の金型をコピーしているのではなく目で観察してディテールを詰めているのですからそれ自体責められるべき話ではないと思ってますし、神崎レンタルサービスのC11はカトーのパクリだ、なんていうつもりは毛頭ありません。むしろよく観察してC11らしさを出そうとしていると、俺の中では高評価のポイントだったりもします
ただ、カトーのC11という優秀な製品を参考にしておいてこれはないだろ…と思う点はあります。そのひとつが動輪の配置です
…いくらなんでもこれはないでしょ。ねじの位置から言っても第1・第3動輪を内側に寄せることは不可能ではありません。ただ先輪・従輪をダミーとしている手前、動輪を内側に寄せると前後バランスがとれず車体がどちらかに倒れてしまう。それを懸念してこんな動輪配置になってしまったのかな、と考えています
また、床下パーツと車体の嵌合がまったくダメダメで、腰高になるわ前傾姿勢になるわでどうにもプロポーションが破綻しています。なのでせっかく9mmゲージの動輪幅なのに、線路にまともに載せることができません
動輪の間隔はは「玩具ゆえの妥協」としてありだと思いますが、嵌合に関しては申し開きできないでしょう。ボディのプロポーションは知識がないなりにひたむきにカトー製品を真似ようとしている努力のあとが見えるだけに、ここだけはいただけないな、というのが俺の見立てです
そして謎なのが後部
……なんなんでしょこの3Dプリンタで出力したみたいなシマシマ模様は?
このような模様は金型で意識して彫らなきゃ出ないわけですから、何らかの意図があって彫ったと思うのですが謎です。もちろんカトーのC11にこんな模様はありません
玩具の造形には設計者の意図が見え隠れします。神崎レンタルサービスのC11は、設計者があまり蒸気機関車に詳しくないがゆえに、いろいろなものが見えてくる楽しい製品です。これが200円で楽しめるのだからたまりません
もっとも、自販機という性質上、必ず出るとは限りませんが