俺が初めて買った9mmゲージ鉄道模型は1978年ごろに購入したエーダイのキハ58スターターセットでした。価格ははっきり覚えています。12,000円でした。清水の舞台どころか東京タワーから飛び降りる覚悟でお年玉全ツッパしたものですから、その感動もひとしおです
時を前後してTOMIXブランドでトミーが3種類のスターターセットを発売しまして、いちばん安いベーシックセットNo.1でもたしか7,800円くらいした記憶があります。しかもこれパワーユニット別売(当時の価格で4,500円)でしたから、やっぱり12,000円くらいするんですよ
まあぶっちゃけ、当時の小学生にはおいそれと買えるものではなかったわけです
時は1978年。この年10月のダイヤ改正では東北筋の特急が大幅スピードダウン、列車キロの削減といった悲しい話題はあったものの、小学生にはそんな難しいことはわかりません。そんなことより国鉄特急のヘッドマークがイラスト入りになった。そこにときめくわけです
9mmゲージの鉄道模型が欲しい。だけどお金がない
そんなときに救世主のごとく現れたのが青島文化教材(以下アオシマ)の特急シリーズでした
ラインナップはEF65 1000番台+24系25型、485系、583系がありました。上の画像は機関車単品のモータなしセットで確か当時の値段で400円。まあこれもありっちゃありなんですが、本命は4両セット電池駆動でエンドレスレールつきのセットのほうでした。価格は2,800円。子どもが買うプラモにしちゃあ高い部類(当時は100円プラモが子どもの玩具。ガンプラはもうちょっと先の話ですがそれでも300円とかでした)ですが、9mmのスターターセットに比べりゃあ1/4ですからね。がんばりゃあ買えないことはない。駄菓子の買い食い我慢して、コロコロコミックを回し読みすれば何とかお金もたまる、そんな額です
箱には〈瀬戸〉だの〈富士〉だの書いてありますが、ヘッドマークに何のシールをはるかの違いでしかありません。そしてシールは上の画像のように全部一まとめになっているので、実質の違いは箱だけです
電動セットのほうは機関車と次位の客車/モハのユニットに電池を組み込み、キャラメルモータを回すというユニット方式を採用。速度調整はできませんが、動くというのが大事なのです
連結器はアーノルトカプラーでゲージも9mm。かなり9mmゲージ鉄道模型を意識した(というよりカトーのEF65をかなり意識して作ってる)製品で好感が持てます。今見ると顔色が悪いように見える塗装も当時はあまり気になりませんでした。少なくともサマンサ少年は「リアルだ!」と思いましたもん
そりゃあ、客車の台車がTR62だったり工程の関係かオハネフ25の妻面にラインが入ってなかったとかそういったところはありましたが、細かいことは気にしちゃいけません。2,800円で9mmゲージの4両セットが走るんですから!
実際、シルエットはホントがんばってると思うんですよ
パンタグラフの線の太さやディテールの浅さは遊ぶ年齢層を意識したものでしょう。奥はひさしをなくしてしまったKATOのEF65ですが、比べてみても10倍の価格差を考えたら悪くないディテールだと思います。色塗りなおしてパンタグラフを載せかえれば結構映えると思いますね
我が家には24系のモデルがありませんのでカトーの20系をぶら下げましたが、案外悪くないと思いませんか?
これは485系。ホットスタンプがドアの段差に届いていない(いや、届いているのもあった気がしますが固体差かな?)といった割り切りはありますが、造形はとてもいいんじゃないでしょうか。当時発売されていた学研の485系と比べても遜色はないと思います。しかもこっちは4両で2,800円、しかも線路つきですから!
今も昔も、9mmゲージ鉄道模型は子どもが買うには敷居の高い価格です。TOMIXが10,000円の半ばボランティアのような価格のスターターセットを出しましたが、それだって多くの家庭では「高い」と感じると思うんですよ
昔は鉄道模型と鉄道玩具の隙間を埋める、こういったプラモデルがありました。そうやって子どもは大人になっていったのですが、現代はあまりこういった中間的なプラモデルというのは必要とされていないのかもしれませんね