ハードオフで見つけた鉄道玩具。株式会社ジパングというメーカーは業務用ゲームのプライズ品を扱うメーカーで、
2009年に倒産しています。
このEX-TRAIN-RSもSTマークがないところを見るとプライズ品だったのかもしれません。もっともJANコードがついているので場末のファミレスなどで販売していた可能性も捨てきれませんが
とりあえずこの製品、ネットで検索しても全然出てきませんので、この場末のブログで紹介する価値はあるでしょう
俺が買ったのはTGV-PSEの3両セット
パッケージを見る限りではこのほか、アムトラックの〈カスケード〉みたいな形の機関車、GP60Mみたいな機関車、日本のC51みたいな機関車が写っています。GP60Mが特急をけん引していたかどうかは知りませんが、〈カスケード〉はエクスプレスといっても差し支えありませんしC51だって特急〈燕〉の牽引機ですから、エクスプレスを名乗ってもいいと思います
もっとも商品名のEX-TRAIN-RSの「RS」が何を指すのかは知りませんが
腰高なのは玩具の宿命ですが、シルエットとしてはちゃんとTGV-PSEに見えると思います。モータと電池は先頭車に入り、客車2両は同じ形です。カラーリングはオレンジの成型色にグレー・白・黒を印刷。それなりにお金をかけています
ただ、こういう玩具で3両を組む場合、先頭車+中間車+後部車という形を鉄道をかじった人なら考えると思います。いやしくもプッシュプルトレインで先頭車+中間車+中間車なんて組成はしません。この玩具の企画者はそういった点を気にしないということは、あまり鉄道に関心はないのでしょう
そういえば、ヨネザワのダイヤペットも先頭+中間の2両セットで(しかも背中合わせに連結できない仕様!)売ってましたね
なんとパンタは別パーツ。しかもちゃんと交流用・直流用のふたつが付いています。パンタグラフがオレンジの成型色というのはいかがなものかと一瞬思いましたが、グレーの屋根にオレンジのパンタは結構パンタを主張してきて悪くありません
なぜかTGVのロゴは「NEW」になっているのはご愛敬。台車はこの手の玩具ではおなじみのベッテンドルフタイプですね。実車でもシンプルな構造の台車としてメリケンでは好まれていますが、玩具の世界でもなぜか好まれています。おそらくGP60Mあたりの貨車に使っているのを流用しているのでしょう
9㎜ゲージの〈ユーロスター〉と並べるとこんな感じ。推定縮尺は1:140といったとこで、全長はややデフォルメといった塩梅でしょうかね。台車のせいで腰高なだけで、玩具としてのスケール感は悪くありません
このセットには直線レール2本、曲線レール8本、そして樹木が2本ついてきます。樹木はまあなんというか豪快なスタイルですが、ストラクチャが付いてくるというだけでもうれしいじゃありませんか!
線路は爪をお互いの溝にはめ込む方式。子供ならバキバキにへし折ってしまうであろう構造で、この辺りは安物玩具のそしりを受けてしまわざるを得ないデザインになっていますし、使い捨て玩具らしいデザインだと思います
それにしても線路の広軌感がすさまじいです
直線2本と曲線8本では「自由にカスタマイズ」というほどコースを変化させることはできないと思います。少なくともエンドレスを組む以上は、小判型以外の形は作れません
まあ、プライズ品にあれこれ言っても詮無い話ですが、プライズゆえにTGV-PSEだのカスケード号だのが発売できたんでしょうね。店舗流通だと外国型というだけで企画会議ではねられますもん
現在の玩具はまずリサーチです。そして子供もよく知ってます。鉄道が好きな子は「まがいもの」に騙されません。てきとーにデザインしたおもちゃには目もくれないんですよ実際
EX-TRAIN-RSの企画者だっておそらく中国のどこかに転がっていた金型を適当にでっち上げてプライズに仕立てたと思うんですよ。そのくらいラインナップに脈絡がないし、デザインにこだわりを感じません
でも、車両ラインナップの多様性で言えば、玩具流通ルートにはない面白さがプライズにはありますよね。鉄道に興味のない人が企画して、鉄道に興味のない人がプライズでゲットして、数回遊んで捨てられる。基本的には「思い出に残らない、忘れ去られる玩具」ではあります。子供のころ「プラレールで遊んだ」「トレーンで遊んだ」みたいな、思い出として振り返られることのない玩具です
世の中にはそんな玩具も、山のようにあるんです