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サマンサのおもちゃ箱

趣味の話ばかりになってきたので改題。模型やおもちゃや実車など、鉄道にかかわるそんな話をつらつらと。好きなジャンルは民鉄と新幹線ですが、最近は新幹線成分が多めですね

かっこいいとはどういうことか

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かっこいいとはどういうことか


 BトレインショーティーH5系新幹線電車。E5系のときからそうだったんですがどうにもこいつは実車に似ていません

 実車のE5/H5系は15mにもなるロングノーズなわけでして、ショーティーモデルのBトレはかなりのデフォルメを強いられるわけです
 デフォルメの方向性というのはふたつあって、ひとつはかわいい方向、もうひとつはかっこいい方向へのデフォルメがあります
 E5/H5系玩具の多くは、かわいい方向へデフォルメの舵を切っています

 かわいい方向へのデフォルメの例、カプセルプラレールです
 カププラは全長70mm未満という縛りのあるボックススケールのトイですが、カププラにスケール感を求めるユーザーは基本的にいないので、大胆なデフォルメが可能です
 カププラではE5系の運転台を強調すべく、運転台の両脇を大胆にくぼませ、サイドのエリアルールをガン無視して複雑な造形をデフォルメしています。個人的にはこのデフォルメは成功しているんじゃないかなと思いますね

 かっこいいほうのデフォルメ例として、カトーの新幹線をあげておきます
 カトーは昔から「模型の見栄え」を重視しており、ライトの位置や全長などをあえてスケールに忠実としないことがあります
 カトーE5/H5系の場合、運転台を少し高く持ち上げ、ノーズの左右のくぼみを強調してやや細身に見せるアレンジが加えられています。これは鉄道模型は上から眺める機会が多いので、上から眺めたときにかっこよく見えるスタイルを研究しているためといわれています
 実際、E5/H5系のノーズにおけるポイントは、左右の肩から降りてきたカーブがコクピット手前で三角形を作りながら合流し、ノーズ中央に山を作るというスタイルです。そこを強調するために運転台脇の隙間は細く、運転台高さは高くとってノーズの長さを強調しているんですね
 ヘッドライトが運転台に埋もれているE5/H5系の場合、運転台は緑一色の中の重要なアクセントなので、運転台を強調するデフォルメは効果的なんです

 トレーンのノーズも実車よりスリムにして、上から見たときのかっこよさを重視しています。コクピットに比べてノーズの幅がかなり狭くなっているのですが、これはこれでシャープでかっこいいと思います
 そしてノーズ中央に細長い三角形を作って、ノーズに表情を出している。カトーのそれとは違うアプローチでの表現ですが、これはこれでかっこいいと思います。運転台後の流線型で収束するカバの形状もいい感じです

 Bトレは何がまずかったのかというと、コクピットの盛り上がりも、コクピット脇の流線型の肩部分など、何から何まで正しい比率で詰めていることだと思うんですね
 コクピットの大きさはBトレサイズに圧縮するなら比率的にこれで正しい。でも、そうなると前後方向にがっつり詰まってコクピットがつぶれちゃうんですよ。ぶっちゃけ速そうに見えないんです。ここはあえてコクピットを盛り上げ(コクピットの高さはそのままに、両脇の勾配を2mm前後下げてカーブを強調する)、運転台の前後方向で約5mm、左右方向で2mm拡大すべきだったと思います。かわいい方向へだろうがかっこいい方向だろうが、顔における「目」を小さくするというのは基本的に悪手です。緑一色でほかにアクセントのないE5/H5系において、心理的に最も注目する部分である運転台は人間の顔における「目」にあたるもの。ここを小さくしてしまうのはデフォルメの方向性としてあまり感心できるものではないのです。
 また、ノーズの盛り上がり方もこれであってるんですが、表現としてノーズ上面に筋が入り、運転台手前で三角形のラインを作るような「うそ」をついてもよかったと思うんです。人間の顔で言うなら鼻筋を立てるってやつですね。Bトレはこれが出来てないのでなんとなく平板な顔つきになってしまいました
 これは、Bトレが『スケールショーティ』を歌っている以上、数字を正しい比率で追い込む必要があったからなのでしょうか。しかし、正しいこととそれを選ぶことはやっぱり別なのです
 ただ、ノーズ先端のつぶれかたは不可解です。どう数字を追い込んでもこうはならないんじゃないかな? 無理やり全長の半分にするための措置だとすれば、ちょっといただけません

 今回比較したE5/H5系。デフォルメの鍵はコクピットにありました。Bトレのそれがまずかったのは15mのロングノーズがBトレの方向性と相容れなかったためなのかな、とも思います。同じBトレの新幹線でもノーズ長4.6mの0系新幹線のデフォルメはすばらしい出来ですし、9.6mの700系新幹線の出来は控えめに言って傑作です
 ただ、E5/H5系ではそれができなかったのはなぜなんでしょう。造形を見ていると、スケールにこだわった結果、正しい圧縮比率に振り回されている感じがありありと伝わってくるのです
 この形式に限っては『スケールショーティ』という看板をあえて捨てて、感性で「かっこよさ」を追い込んでいくのもまたありなんじゃないかなと思ったのです
 模型は実物を縮小するだけではかっこよくならないわけです
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