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サマンサのおもちゃ箱

趣味の話ばかりになってきたので改題。模型やおもちゃや実車など、鉄道にかかわるそんな話をつらつらと。好きなジャンルは民鉄と新幹線ですが、最近は新幹線成分が多めですね

ロマンスからユニバーサルへ


 名鉄小牧線沿線の実家に帰る際、名鉄電車をよく利用した。
 小牧線を走る電車はHLの3730系やALの3880系、7300系などが多かったと記憶しているが、やはり白眉は犬山線を走るパノラマカーだった。特に7500系の伸びやかな加速。これこそが名鉄電車だと子供心に感じていた。古い電車ばかりの小牧線よりも、SR車が雁行する犬山線に興味を引かれるのは子ども的には当然のことだろう。
 そんな中で鳴り物入りで登場した6000系には正直落胆した。
 当時、直巻モータと複巻モータの違いも理解できない子どもだったが、7500系とくらべて走りは一歩劣る、そう感じていた。特に各務原線の6000系新岐阜行き高速に乗ったとき、それを感じた。
 SR車なのに高速で余裕がない。
 6000系のTDK-8050Aモータは150キロワットの出力を持ち、定格回転数も2,000rpmと東洋電機らしい高回転モータなのだが、MT比が1:1、ギアリング6.07では韋駄天の走りというわけにはいかない。2,000rpmでの速度が時速50キロ(φ820条件)。40%弱め界磁で定格100キロがあたりまえの名鉄SR車において、6000系の走りは「別物」と言わざるを得ない。また、2両編成と4両編成でシステムを共通かしたいがために4M1Cを堅持したかった理由は分かるが、750ボルトモータを採用したのもいただけない。これには異論があるかもしれないが、375ボルトモータの8M1Cと4M1C永久直列のほうが「理」はあったのではないかと今でも思ってる。まあ、直巻モータなら関係ないよといわれたら返す言葉もないが。当時小学生だった自分はこれを評して「こんなの速いHLだ。断じてSRではない」と憤った。やな子どもだね。
 とはいえ、6000系のおかげでラッシュが大幅に楽になったのは疑いようのない事実だ。かつて岩倉から新名古屋まで混雑した7000系急行に乗ったときは「これが土川氏(名鉄のえらい人)のいうヒューマンカーか!」と憤った記憶がある。理想を説く前にこの犬山線の現実をなんとかしろよと憤慨しつつも、やはり7000系の走りは「これぞSR」というものでたいへん魅力的だった。
 そんなわけで、自分にとっての「SR車のあるべき姿」とは、6000系の上まわりと7500系の下回り、ということになる。収容力があり、伸びやかに走る電車。一方で閑散線区でも上質の走りができるような仕掛けもほしい。7000系は電圧ドロップの対策として直列段から弱め界磁に入れることができた。そういった配慮があればなおいい。
 その観点からいくと、SR車の完成形は3500系/3100系であるとしたい。
 車内は3ドアロングシート。朝の犬山線を考えたらこのインテリア以外ありえない。座席数が少ないとはいえ日中の乗客はそれ以上に少ないし、何となれば土川イズムにのっとり増結すればいい。捕まるところもろくすっぽないクロスシート車は断じて氏の言う「ヒューマンカー」などではないし、今の名鉄に求められているのは、ヒューマンカーではなくユニバーサルカーだ。混雑にも対応でき、閑散時間帯も快適に利用できるクルマこそが、今の名鉄には必要なわけだ。すくなくとも3500系/3100系はインテリアに関しては申し分ない。
 また、これは6800系/6500系からのつながりではあるが、運転台の後ろに座席を用意し、正面の窓を大きくした点も評価したい。6500系/6000系の高運転台は保安面からすれば正しいデザインではあるが、6800系以降「パノラマ」のイメージを通勤電車でも承継してくれたのは素直に嬉しい。
 次に走りを見てみよう。3500系は4両編成でコントはATR-H8170-RG。つまり170キロワットモータの8M1Cとなっている。定格回転数がいかほどかは不明だが、ギアリングは5.65。時速100キロにおいて3,650rpmといったところなので、出力からすれば十分余力のある走りをしている。また、加速力に関しても2.0キロ/秒ということは起動時に相当電流を絞っているわけで、電圧ドロップの際もそれほどき電設備に負荷をかけないセッティングになっている。また、ここまで電流を絞れば空転にも強い。つまり1コントでも走りの質は相応に保証されているというわけだ。
 しかもこの2.0キロ/秒という加速、決して遅いとは感じない。何となれば定加速領域が70キロ付近まであるから100キロ到達は1分前後。気付いたら高速クルージングに入っている、そんな走りだ。しかもパワーに余力があるから実に上品。いうなれば東武特急スペーシアの走りに近いものがある。
 そう。見かけは通勤形でも走りはこれ以上ないくらいにSR車なのが3500系/3100系なのだ。
 なお、もしき電設備にまったく問題がなければ、プログラムの変更で3.0キロ/秒程度に上げることは容易だ。実際に瀬戸線の4000系はそうしている。
 3100系のコントはMAP-174-15V78(三菱)一見1C4Mととれる型番だが、4つのモータを個別に制御できる(らしい)。2連単独で運行する場合1コントではさしもの並列接続のVVVFでも空転のリスクは負わざるを得ないが、個別制御であれば軸ごとのコントロールが利くので、仮にMcが先頭となった場合でも運転の安定性が格段によくなる。つまり、支線区の普通電車にも最適な性能と言える。
 6000系登場から20年かけて、ようやく理想のSR車が登場した、というわけだ。
 ところで、3300系や3150系はさらに進化しているのではないか、という向きもあるだろうから補足しておきたい。
 自分としては3300系/3150系は優れた電車であることを認めるにやぶさかではないものの、「名鉄電車」としては3500系/3100系に軍配を上げたい。ひとつはインテリアに再び迷いが生じている点。もうひとつは、やはり自分の感性として「赤い電車」のうちにシステムが完成したことを評価したいというところがある。
 車体の色で性能は変わらない。それはまったくその通りだし、メインテナンス面から考えれば軽量化を志向した(このこと自体はまったく正しい)名鉄のペラペラな鋼鉄製のハコよりも、ステンレスカーのほうがいいに決まっている。決まってはいるのだがそれでもやはり、名鉄のSR車は「赤い電車」であってほしいという気持ちが捨てきれなかった。
 最後の最後で私情が挟まったことをお許し願いたい。
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