趣味の話ばかりになってきたので改題。模型やおもちゃや実車など、鉄道にかかわるそんな話をつらつらと。好きなジャンルは民鉄と新幹線ですが、最近は新幹線成分が多めですね
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以前雑誌で京成の成田空港アクセスについて書いたことがあるんだけど、そのとき「京成の悪口を言うな」と読者から言われたことがあったのよね
標準軌電鉄が大好きな俺が京成の悪口なんて書くわけがないし、当該記事はむしろAE車の美しさ、TDK-8500モータは究極のコンパウンドモータであること、3400形の足回りは唯一無二のしなやかさを持ってるとか、3700形の TDK-6170-A モータとRG633-A-Mコントの組み合わせは東洋電機の最高傑作とかちょっと贔屓の引き倒しが過ぎるんじゃないかくらいに自分は思ってたんだけど、人にものを伝えるのは本当に難しいと思った
TDK-8500モータは現在京成3400形が装備しているので、その素晴らしい走りは現在でも体感できますが、ACRF-H8140-766Aコントとの組み合わせはホント最高ですよ? 運転士にはあまり評判がよくありませんし、それは納得できる(HRDブレーキなのに制動が読めないってーのはホント運転士にはつらかろうと思います)のですが、旅客として乗る分には素晴らしくしなやかな走りを楽しめます
実際MT61が究極のシリースモータなら、TDK-8500は究極のコンパウンドモータくらいにはホント思ってますよ? モータ質量910㎏はちょっとおデブさん(それでもMT54と同等に抑えてるのはさすが)に思えるかもしれないけど、分巻回路が必要な分コンパウンドモータはもともと重くなりがちだし、TDK-8500は4M直列制御2群で直並列の渡りをやらないショックレスな加速を追求するために磁束密度を上げてるのだから、重くなるのは想定の範囲内。だからこの場合の910㎏は決して設計がタコスケなわけじゃないのよ。たとえば似たような特性でもシリースモータなら770kgで造れる。TDK-8120(特性的にはTDK-8500の親戚みたいなモータ。ただ、「けったいな」技術の京阪向けのモータだけあって、ファナティックさはTDK-8500以上。なんたって定格電流515Aよ? 保証巻線なかったら成立しないぞこんな数字)なんかそうでしょ
まあ、TDK-8120を装備した京阪5000系は「ファナティックじゃないところが存在しない」れべるでとんがった車両ですから。これまた実に楽しい車両です
閑話休題。TDK-8120という比較的軽くてパワフルにもほどがあるモータがあるならなんでTDK-8500なんて重たいモータを造ったか。そりゃあ東洋の基本思想である「DCモータで回生ブレーキを使うため」ですよ。モータが200㎏重くなっても発電抵抗を載せなければトータルの質量ではそうかわらんのだから「質量と性能の取引」という観点で見れば悪い取引じゃないのですよ。列車密度が全線にわたって十分に高い京成電鉄なら成立するデザインなんです
TDK-8500は4M2T編成だけどギアリングは5.25で特急型としては結構浅い。これは2両のTという分銅を永久並列というシステムで引き出すならこのくらいのギアリングにならざるを得ないってことだし、その分のトルクを過電流で(定格415A。ピークなら560Aくらいかけられる)出すなら910㎏という重さになっちゃうんだよねどうしても
そのかわり起動から54㎞/hくらいの加速は超上品でしょ? 3400形でもその「美学」はちゃんと出てる。運転士にとっては厄介な性能かもしれないけど、3400形の加減速はホント上品だよね。3700形のマッチョな走りとホント好対照。3700形もいい意味で「東洋電機らしい足回り」を楽しめるので大好きな車両です
こんな京成をdisる要素なんてなーんもありませんがな。京成最高ですよ大好きですよ俺は
Tumblrでクダ巻いたエントリです。元のツイートは
車ってぜんぜんくわしくないんですけど、やっぱりスポーツカーって乗ってて楽しいんですかね? ジープとかのが楽しそうだなって思う
という、まくるめさんのツイートでした
俺はそもそも免許持ってないし、自動車の知識なんて皆無に等しい(自動車の話をするときは気動車や電車のメカニズムから自動車の機構を想像して語っているだけです。「動く」という意味では共通点も多いだろうという程度の認識)ので、スポーツカーが載っていて楽しいのかどうかは正直わからないんですが、運転していて楽しいだろうなってのはわかる気がします
ていうのは、まあ俺は色盲なので電車の運転もできないのですが、それでも仕事柄車庫で軽く転がさせてもらったり鉄道会社のシミュレータをいじらせてもらったりして、疑似自適部分的とはいえ、ディーゼルカーから新幹線までちょっとばかし電車の運転をかじることができました
それで思ったんですが、軽いクルマは走らせていて楽しいんですよ
N700系のシミュレータがどれだけ実車を再現しているかわかりませんが、ノッチを入れると間断なく後ろからグイっと押してくる加速感。TMT-9モータはどちらかというと高回転型なんですが、14Mも束ねれば結構なトルクを楽しめます。また、インダクションモータだから一時的に電流がっつりくれてやればそれで反応返してくれるのもいいですよね
そしてノッチを切るとかるく空気の壁を感じて減速していく感じなど、軽いクルマ独特の挙動はすごく楽しかった。これが0系だとそうはいかないんですよ。とにかく重たい。ノッチを入れてコントに電気が通ってモータに電流が流れる。そこでトルクが発生するんだけどそこから「質量の抵抗に打ち勝つまで」のタイムラグが数秒あるんですよ。N700はこれが本当に短い。まるで自分の手足のようにN700系を振り回せるんでとてもストレスがなくて楽しいんですよね(まあ、仕事じゃあそうも言ってられないのはわかりますよ?)
そりゃあそうだ。0系に比べてN700系は200tも軽いんだ。物理的に違いなない方がニュートンもびっくりって話ですよ
でも0系は0系で、スピードが載ると案外楽しい。ブレーキを先読みしてATCをきわどくクリアしたりするのは結構「勘」が必要だし、SEDブレーキはHRDとはまた違ったダイレクト感があって個人的には好きなブレーキです。ブレーキハンドルのシムがいい感じに調整されているとほんとフェザータッチでブレーキ圧を選べる。これはHRDみたいな「ブレーキ設定器」にはできない愉悦ですね(もちろん仕事で考えればHRDがいいに決まってますが)
まあそんな感じで新幹線の運転ひとつとっても面白いんだから、自動車だってきっと面白いと思うんですよね
※画像はイメージです
元京王3000系を導入した事業者が車両の置き換えを検討し始めてますね。東武20000型はともかくとして、東急7700系・東京メトロ03系という極上中古車が市場に流れる今こそが置き換えのチャンスなんでしょうね
というのは、京王重機のメーカー保証が15年で、2000年導入の上毛電鉄はメーカー保証が切れてパーツのストックが怪しくなった状態、北陸鉄道も1996・1998年だからやっぱりヤバい状態。岳南鉄道も2002年導入でメーカー保証が切れた時期。だから一斉に動き出したんじゃないかな?
※伊予鉄道は足回り一新してるから東洋電機のサポートもしばらくは期待できるんで、ここには含まれませぬ
2006年導入の北鉄7700系はまだ保証期間が残ってるけど、合わせて置き換えかな? 2021年に手ごろな中古車が転がっている保証はどこにもないなら、浅野川線の置き換えと合わせてリプレイスするってのは十分考えられます。まあ、別のオプションとして浅野川線8800系からパーツをちょっぱってきて7700系の共食い部品にするというやり方もありますが
で、そんな中で動きがないのがアルピコ交通。もしかしたら他社で廃車が進むことを見越して中古パーツ狙いなのかな
実際鉄道会社同士で中古パーツの融通というのはよくある話で、最近では大井川鉄道が一畑電車から元南海21001系の冷房とか買って、故障していた冷房を復帰させたみたいな例もあるし
とりあえず、しばらくは京王3000系をめぐるあれこれで中小民鉄界隈がいろいろ動きそうですね。共食いパーツさえある程度調達できるなら「譲渡車の譲渡」だって十分あり得るわけですし。中古車を買うポイントとして、自分が何両買うかどうかは別にして、弾数が多い車両を買うというのは鉄則です。これによって共食い用のASSYの入手チャンスが増えて延命できる確率が上がるからです。富士急が1両1億円という価格に目をつぶって205系を購入しているのもスケールメリットだと思います。MT61モータやCS57コントならまだまだ入手は容易ですから
中小民鉄はすでに「自社で車両を何とかする」能力を喪失したところも少なくないので、今後は中古車を検査通す前に使い捨てする感覚でバンバン置き換えるところも珍しくなくなると思います。ていうかすでになってるか
そういえば岳南は京王3000系の置き換えに富士急の京王5000系を入れてるけど、あれは富士急にパーツのストックがある程度あるから、とりあえず数年間使えればいいや、という感覚で一時しのぎ的に入れているんだろうね。おそらく次の全検は通さないで8年以内に潰すかもしれんね。まあこのへんを想像するのもまた楽しいです
※このエントリはTumblrからの転載です
E235系が総武快速・横須賀線に投入されるということで鉄道マニアが沸き立っていました
この「カエルを踏み潰したような顔」には賛否あるようで、俺自身も最初見たときは「なんじゃこりゃあ」と思いましたが、俺自身の感性などはどうでもいいのです。俺の感性は性能やデザインに全く関係がないので
とりあえず「カエルがひき殺されたような顔」の根本となっているこの切妻ですが、通勤電車においてはそれなりに美点があります。それはやはり収容体積を最大にとれることに尽きると思ってて、それは通勤電車の資質としてかなり重要な要素であるというのは思ってるんですよ
空力的には三面折妻も切妻も大して変わりません。空力を気にするなら名古屋市鶴舞線の電車みたいな「面取り」のほうがよっぽど効果的です。空気抵抗はあくまでも「空気が車体から引きはがされるとき、角に引っかかって渦を作って抵抗になることが問題」なんですから、三面折妻程度の鈍角では空気抵抗の低減になりゃあしません。だったらエッジを面取りして、90度の角をふたつの45度にする。こちらの方が空力的にははるかに理にかなっているんですよ
これな。このデザインを考えた人はすげー頭のいい人だと思う。運転台が狭っ苦しくならず空力的に有利になるこのデザインは、地下鉄用として考えたときかなり優れていると思いますね。三面折妻なんてのは設計が面倒だわ運転台がいびつに狭くなるわで実用上のメリットはまあ、皆無です。少なくとも空力的には何ら評価の対象にはなりません
閑話休題。で、切妻非貫通であれば価格面ではかなり有利です。カエルがプレスされたへちゃむくれの顔でも、価格が安ければそれは正義だし美しいカエルです。低価格すなわち通勤電車としての高い資質です。かつての東急電鉄は、コスメティックにお金をかけるくらいなら切妻でコストを下げて、その分をインテリアに投資して旅客に還元すべしというポリシーを持っていましたが、これが見識ですよ。JR東日本が旅客に何かを還元しているかは知りませんが、少なくとも正面デザインに関しては乗務員の職場環境の向上には資しています。女性乗務員が増えたことで背の低い人にも後方確認がやりやすいよう運転台高さを1410㎜(だっけ)まで下げた。身長150㎝台の乗務員でも後方確認がしやすい。これはE233系のフェイスを変えるに十分かつ正当な理由でしょう
そして部品点数を極力抑え、シールでコスメティックを構成するE235系、なかなか見識が高いデザインだとは思ってます。さらにE235系が21世紀の電車だなと思う点は、これバラバラにしてみてくださいよ。すげーシンプルかつ素材ごとの分別もしやすそうじゃないですか。勝手な印象ですけど環境面でのアドバンスもありそうです
分解がしやすく分別がしやすいというのは、未来の電車のあるべき姿です。そういう意味ではさすがJR東日本やってくれるぜ、とは思います。性能にかかわらないところでは好きにやってくれればいい。そしてコスメティックはスタイル侵さず、スタイルはデザインを侵さない。それが守られている限りはどんな「お遊び」をしようが俺の興味ではありません。たとえそれがぺしゃんこのカエルのようなツラだったとしても
が、E235系が横須賀線に入るとなると気になることが少し
横須賀線、何気に神奈川県内はトンネルが多いし品川から錦糸町までは地下トンネルを走るんだけど、正面窓が垂直なのはどーなんだろ?
10度も傾ければガラスへの光の映り込みがかなり緩和されるんだけど、そういった造形を作るくらいなら共通の顔にして、トンネル内はブラインドを下ろせばいい、というデザインなのかしら?
それはそれでJR東日本らしいスタンダードに対する見識だとは思うし、10度傾けると400㎜ちかく乗務員室の面積を持っていかれるし価格も上がる。だから一顧だする価値もないといえばおっしゃる通りですとしか言いようがないんだけど、このへんは「ほかの解」がありそうなんだよな。だって、E235系がE233系よりもガラスの部分を下げた理由にこれがあったじゃないですか
「子どもが前を見やすいように」
そういうデザインなら、ブラインドを極力降ろさないデザインってのもあったんじゃないかな? って思うんですよね
そういう意味では、この顔はこの顔で優れていると思うんですよ。ええ、E233系はE233系で優秀なんですよ
川崎重工業は19日、20日公開のアニメ映画「未来のミライ」に登場する鉄道車両のデザインに協力したと発表した。細田守監督の依頼を受け、実際の車両を手掛ける部署が劇中に出てくる未来の新幹線をデザインした。 登場するのは生き物をモチーフにした「黒い新幹線」や、かっこよさやスピード感を表現した「未来の新幹線」。黒い新幹線は複数のデザインを提案し、細田監督が選んだという。
川崎重工の担当者は「作品に参加できるのは光栄。映画では是非、車両にも注目していただきたい」と話している。
「スタイル」ではなく本当に「デザイン」をしてくれたらうれしいけど、映画の趣旨的にそれはないんだろうな…
新幹線のデザインはその時代の人間が持つ見識を表すくらい主張の激しいもので、ただとがらせたり「ぼくのかんがえたさいきょうのしんかんせん」を描いても全然そこに迫力は出ないんですよ
川重は実際に新幹線をデザインしている会社だし、efsetなんかも川重が新幹線に何を期待しているのかがはっきりとわかるデザインなんですよ。国内向けじゃないからノーズのスタイルがシンプルになってるでしょ?
運転台のでっぱり分だけ側面をへこませて、あとはワンモーションでまとめてる。トンネル断面に余裕があればこれで350㎞/hいけるんです。最後尾の整流も力任せに空気を引っ剥がせばいい
日本向けであればもう少し側面のエッジを削って、ノーズを下げないといけないと思うけど。そこをいじりだすとぐっちゃぐちゃになっていくわけで、そのぐっちゃぐちゃに説得力を持たせたのがE5系やN700Sなんですよ
上にN700Sのノーズ付近の画像を挙げてみましたが、立ち上がりのところで面積稼がなきゃいけないから先端が幅広になって、そこから高さをできるだけ上げずに、運転台部分だけで面積を稼ぐ。そのつじつまを後方整流のためのディフューザとして溝に使って運転台下でもう一段えぐる。これをAIをつかって「それらしく」まとめたのがN700Sなんです
ね、同じ速度を目標にしても、線路条件でこれだけ姿が変わるんですよ。これが新幹線の面白さ、醍醐味なんです。どっちがいい悪いじゃない。環境に応じて「進化」する生き物なんですよ新幹線は
だから、N700系の遺伝的アルゴリズムがとても有効なんです
モチーフにするまでもなく新幹線は「生き物」の理論を取り入れています。そんな必然がデザインに反映されていたら、とてもすてきだと思うんですが
「スピード感」の表現というけど、新幹線のスピード感というのは時代によって変わっていくものなんですよ。空力理論の進化は新幹線の姿を変えてきているわけですから。古代人と現代人は顔つきが違いますよね。それは環境で進化を獲得した結果なんですよ。けっして「古代人が考えた未来人」ではないんです。空想世界の新幹線を描くとき「どの時代の人間が考えた新幹線か」を念頭に置かないと、ちぐはぐな姿にしかならないと思うんですよね
そういった視点で、デザインされた車両を見てみると…
…え? 下の車両はともかく上の車両はなかなかいいじゃない!? これはいい意味で裏切られたかもしれない
正直、上の車両でスタイリングそのものに特に感銘を受けるものはありませんが、上の黒い新幹線は一応エリアルールに沿ったデザインをぎりぎりまで頑張ってるのは好感が持てます。コクピットの後ろをくぼませなければ「やるじゃん川重」と思ったかもしれないレベルでいいと思います。コスメティックは興味の外だけどこのデザインはいい。「ぼくのかんがえたさいきょうのしんかんせん」ではなく「新幹線電車をデザイン」しています
運転台前の謎の牙に関してはまったく余計なものなんだけど、その直下を極端にくぼませてるでしょ? ここに俺は「川重の意地」を見ました。これはちゃんとまじめにデザインしてるよ。確かにスタイルはメチャクチャです。ですが、そのメチャクチャにちゃんと空力理論で筋を通してます。うん、すごい。物理とフィクションのバランスが絶妙だわ
運転台後部のくぼみは個人的にどうなのと思うんだけど、最後部に来た時のフィンと考えれば納得できないこともない。カルマン渦の剥離をここでやるのだ、といえばなるほどと納得できますよ
で、「速さをイメージしたほう」は二階建てですね。なんでまた……
日本の新幹線で二階建てというのは、デザインがまず破綻します。川崎重工もこりゃあすげー迷いを感じますし、もしかしたらこれは日本むけではないかもしれません
二階建てだと車高が4,400㎜くらいになるので、ノーズをワンモーションで造れば18m近い長さになります。そして断面積変化を一定に保つ以上相当左右をえぐらないといけません。その「苦しさ」がイメージパースにもはっきり表れています。それでも足りなかったと見えて、運転台もヘッドライトも出っ張った部分は全部フラットにしています。すごい、ちゃんと筋を通してる
しかしこの「フラットな運転台」は300系J0編成で否定されたんじゃなかったかな。でも、二階建てで高速運転をするならこれしかないし、E4系みたいに運転台を出っ張らせるなら高速運転はあきらめるしかないです
ただ、それ以上にこの新幹線がデザインとして破綻してしまっているのは、「お前は輸送力を取りたいのか速度を取りたいのか」どっちつかずのデザインになってる点です。輸送力を取るならこんなバカげたノーズはいりません。ノーズを伸ばして先頭車をダブルデッカーにできませんでした、なんてのはデザインが破綻しています
じゃあスピードか、というと、2階建てはコンタがでかい。つまり軽量化には絶望的に向いていません。E4系新幹線は静粛性に優れたダブルスキン構造を放棄し、シングルスキン構造にしてまで軽量化を施しています。それでも軸重16t
果たしてこの新幹線がどのくらいの速度を想定しているのかはわかりませんが、240㎞/h程度ならこのノーズは意味のない長さ、300㎞/h程度なら物理的に軽量化が不可能という結論になってしまい、デザインとしては破綻しているといわざるを得ないのです
かように新幹線電車のデザインというのは難しく、奥が深いものなんです
もしかしたらefsetのように海外に売り込む車両がベースなのかもしれません。大陸のがっちりした軌道を300㎞/hで走る、という想定ならこのデザインはありです。それがどこになるかはわかりませんが…ちなみに軸重で言えばフランスは17t、ドイツが20tです。高速列車の軸重はたいへんシビアです
とはいえ、両車とも新幹線電車としてのデザインは誠実に行われています。細田監督もちゃんと「守るべきところは守り、遊ぶべきところで遊ぶ」というメリハリをきっちり守っている感じです。俺は少なくともデザインに対して誠実さを感じました
うん、いい意味で裏切られたよ。これは素晴らしい
たかが映画にそんなうだうだ言わなくても…まさにおっしゃる通りです。別に俺も新幹線のデザインが破綻しているからこの映画はダメだ、なんて言うつもりもないです
ただ、このイメージパースだけでも新幹線電車というのはこれだけ語れてしまう面白さがあるのです
以下追記
『未来のミライ』に登場する新幹線電車のイメージカット、もう1種類あった。これは東北大学の小濱教授が提案するデザインがもとになってるのかな? サイドにフィンを立てて最後部に来た時垂直尾翼と同じ整流効果を期待したデザイン。上の『黒い新幹線』からコスメティックを取っ払ったらこうなります
本来ならひとつ目の先端フィンの部分はノーズを もう少し絞り込みたいところだし、ノーズ先端はそんなにとがらせなくてもいい(そんな余裕があるなら客室に使おう!)んだけど、全体的な空力理論は間違ってない。コクピット横のフィンを立てた分は側面を斜めに削ってちゃんとつじつまを合わせてあるし、コクピットのでっぱりもちゃんと計算されている。サイドのフィンがコクピットのかなり手前から立ち上がって、コクピットの勾配と反比例しつつ、最後でぐっと持ち上がるところなんかとてもエロチックだ。もちろんこれも空力的に極めて正しい
N700Sの理論を極端に表現するとこうなりますよってスタイリングだよね。これはいいデザインだと思う。少なくとも2階建て新幹線よりは理屈に合ってる。これなら「さすが川崎重工」と思うし、こいつが劇中で330㎞/hくらい出しても納得できるよ
基本理論があっていれば、かっこよさのためにうそをついてもそれは失点にならない。むしろフィクションなんだからそこは盛大に嘘をつくべきなんです。この新幹線電車に限って言えば、物理と嘘のバランスが絶妙に素晴らしい。これは監督もかなりの見識を持ってデザインしてるんじゃないかな?
ああ、なんか久しぶりに「架空の新幹線電車」で素晴らしいものを見た気がする。潔く定員を捨てて「速い新幹線」のも好感が持てるよ俺は
素晴らしいですこの新幹線