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サマンサのおもちゃ箱

趣味の話ばかりになってきたので改題。模型やおもちゃや実車など、鉄道にかかわるそんな話をつらつらと。好きなジャンルは民鉄と新幹線ですが、最近は新幹線成分が多めですね

ジ・インターバン

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ジ・インターバン


 吊りかけ駆動独特のギアノイズを響かせながら、高速でかっとんでいくインターバン。地盤の弱い日本ではばね下重量の増大はすなわち悪であり、ばね下重量を軽減したカルダンドライブやWNドライブに取って代わられた。
 吊りかけの音色を楽しめるのはもはや、路面電車と軽便電車、電気機関車くらいしかないのが現状であり、高速運転を吊りかけ車で堪能することはもはや日本では望むべくもない……。
 本当にそうだろうか。
 速度がたとえ路面電車クラスでも、モータが高回転で回ればその雰囲気は楽しめるのではないか。そう、楽しめるのだ。
 筑豊電気鉄道は2015年3月までは、日本で唯一カルダン駆動の電車を所有していない鉄道会社だった。路面電車クラスの車両を使いながらも全区間が併用軌道で、自動車に邪魔されることなく最高速度時速60キロで走行する。その音色たるや往年の吊りかけ高速電車を髣髴させるような甲高いギアノイズで、いまやこのサウンドを堪能できるのは日本でもここ、筑豊電気鉄道だけと言っても過言ではない。
 筑豊電鉄の吊りかけ車には2000形と3000形がいるが、比較的乗りやすいのは3000形だろう。2000形の走りはとても魅力的なのだが、現状朝夕しか運行されていない。
 さて、この3000形、音がいいのは以下の数字を見ればわかる。モータは高回転命の東洋電機謹製TDK-534A。端子電圧200ボルト時の定格出力は45キロワットと、路面電車ようモータにしてはなかなかのパワー。しかし東洋電機のモータであるからして、このパワーをトルクではなく回転数に全振りした結果、定格回転数なんと1,187rpm! 吊りかけでこの回転数。これが楽しくないわけがない。
 このくらいの回転数ともなると、ギアリングを思いっきり高速寄りに振って時速80キロ運転なんてのも楽しいかもしれないが、かつて高密度運転を行っていた西鉄北九州線の末裔であるから、加速力もそれなりに必要となる。
 であれば、というわけではないがギアリングは4.07。吊りかけにしては異様なハイギアードとなっているが、そこで定格1,187rpmが効いてくるのだ。車輪径620ミリ条件で計算すると、定格34.23キロ。時速60キロなら2,080rpmだ。ここまで高回転なら甲高い吊りかけ音が期待できるというものだろう。
 車体が軽いので加速力もいい。定格値で計算しても出だしで2.1キロ/秒程度は出せるということは、加速時にオーバーロードをかければ2.5~3.2キロ/秒程度は余裕で叩きだせる。もちろん低速では低電圧大電流でモータが低く唸る。つりかけの醍醐味だ。そして全界磁を抜けてWFに入ると急に1オクターブモータ音が甲高くなる。逆起電力が弱まり、モータがより軽快に回るようになったのがわかる。そのまま55キロ付近まで軽快に加速し、60キロで余力を残してノッチオフ。軽い下り坂なら70キロくらいまで出るんじゃないかという軽快な走りを堪能できる。60キロ付近のモータ音はまるでかすれるような音色で、ギアも必死で回っていることが床下から伝わってくる、高回転モータでしか味わえない悦楽を楽しめる。
 絶対的なスピードは時速60キロだ。たかが60キロというなかれ。路面電車用の小型モータに径の小さな車輪、そして低速型ギアリングの組み合わせだ。出ている速度は時速60キロでも、モータ的には郊外電車の時速100キロにも匹敵するような走りになっているのだ。
 実際、筑豊電鉄の走りは熱い。なんせ表定速度は約30キロなのだ。最高速度60キロで表定28~30キロなのだから、飛ばせるとことはしっかり飛ばす。まさにジ・インターバンの走りなのだ。
 2015年3月から新しいLRVが投入される。きっと快適な走りを約束してくれるだろう。しかし、熱い走りなら断然、3000形だ。
 きっと電車が、好きになる。
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